言語に関する考察

選べる贅沢を捨てる「言語貧乏」で一億総ボケ社会に向かう日本

今回はいつもとは違う角度から言葉について語る。

言葉は己を求め、己は言葉を求める

ブログで「ほしょうはない」と書こうとして、キーボードを打つ手が止まった。

「ほしょう」は「保証」なのか「保障」なのか「補償」なのか、と。

各々の語義を調べて「保証」が妥当かな?と判断したのだが、その後、書籍や記事を読んでいて「ほしょう」がよく目に止まるようになった。

なるほど。「保障」を用いるべき状況とはこういうものなのか。こんなときに「補償」と書くのかといった感じで、遣いどころが掴めてくる。

そんなことを繰り返しているうちに「この文脈からすれば『保証』はおかしいのではないか」と、考えたりできるようになった。

どの熟語から選び出し「ほしょう」と表現するのか。これは非情に「贅沢」だなとしみじみ思う。

己の感情や思考と表出を一致させる。もしくは状況や事象を正確に描写する。これらを実際に為せるのは選べる言葉が多いからだ。これがいかに贅沢であるかを私は今頃になって噛み締めている。

正確に言い表したり描写ができる。これを裏から見れば「意思や感情の明確化」や「状況や事象の繊細な把握」を己に求めることだ。

「この湧き上がる感情は何ぞや」「この出来事の状況と実態は何ぞや」と我が内に問いかけなければ、色彩と濃淡と立体感のない表現になってしまう。

感情には「喜怒哀楽」では表せない色彩と濃淡があるだろうし、事象には複数の構造要素が含まれている。

言葉は己を求め、己は言葉を求めるのだ

言語貧乏

しかし、世の中を見渡せば、その贅沢を知らないどころかわざわざ放棄する人に溢れている。

いくつか例えを挙げてみよう。

早く検査しないと流産する可能性が高くなるよ。
今月Fate/Grand Orderで課金しすぎたわ。
断捨離のためにメルカリ始めた。
パパ活でお金入った🤑インスタで〇〇ちゃんがあげてたルブタンの靴買っちゃった💝これでまた女子力上がったかな✨

上記の文章を読んで何も感じないなら、あなたは贅沢を自ら捨てた「言語貧乏」である。

次項でどこが「言語貧乏」なのか一応説明しておこう。

「可能性」

早く検査しないと流産する可能性が高くなるよ。

流産に「可能性」なんてあって良いのだろうか。そんなことはないはずだ。しかし、実際はこのような「可能性の一元化」が進んでいる。

検査や流産という出来事に際し人はそれぞれの想いを抱く。その想いを表す言葉は決して「可能性」ではなく別にあるはずなのだ。

「恐れ」「危険性」「場合」「懸念」「リスク」などがそれにあたる。

流産に限定せず、もう少し広い範囲の出来事で見れば「疑い」「疑念」「疑義」「懐疑」「蓋然性」「確率」といった言葉も選択肢に入る。

にも関わらず「可能性」に一元化されている現実。「言語貧乏」と呼べないだろうか。

「課金」

今月Fate/Grand Orderで課金しすぎたわ。

本来は「納金」や「支払い」や「購入」である。ところがゲーム界隈では「納税」と「課税」のように区別されることなく「課金に一元化」されているのだ。

語求(ごきゅう)
語求(ごきゅう)
ゲーム界隈で始まった「課金」の誤用は汗染みのように拡がっていく。もはや汗染みは全体に及び、固着した黃バミにさえ気付かない有様。

「可能性」にも言えることだが、本来の言葉を「対義語」が上書きする状況が起こっているのだ。これもまた「言語貧乏」だと私は考える。

【インド人】おしえください「課金」のいみがワカマセン目下のイベントにしか興味がないソーシャルゲームのアホプレイヤー共が「納金」の対義語であるはずの「課金」で上書きセーブをやらかしている。その上書きセーブのデータは各分野でコピーされ世間に蔓延した。その蔓延ぶりは手の付けられないところまできており、愛国心の塊のような桜井誠氏でさえ「納金」のことを「課金」と言っている始末。...

「断捨離」

断捨離のためにメルカリ始めた。

私は「断捨離」の実像がまるで掴めない。スピリチュアルの臭いがプンプンするだけだ。

確かに部屋の整理は効率を上げたり無駄遣いを諌めることができる。だが「断捨離」という表現を掲げてするべきことだろうか。とても胡散臭い。

「女子力」

パパ活でお金入った🤑インスタで〇〇ちゃんがあげてたルブタンの靴買っちゃった💝これでまた女子力上がったかな✨

この言葉に至っては未だに定義できていないのではなかろうか。定義不明の言葉を用いるのは、自分が何を考えているのかわかっていない状況であることの証左。

近年、やたら「〇〇力」なる言葉が作られているが、その「力」とは何を示しているのか漠然としていてさっぱり意味がわからない。

内面が不明瞭なときにはボンヤリとした言葉を選ぶ。まさに「言語貧乏」そのものである。

「草」

ただの「反射」。膝をコンと叩いてスネがピョンと上がるのと同じレベル。熱湯に触れるとビクッとなるのと同じレベル。

「言語貧乏」の最たるもので、パッパラパーのNOミソである。

「ヤバい」「クッソ〇〇」「普通に〇〇」「それな」「草」が癖になっていれば、それはもうホームレス同然の「言語破産者」レベル。

褒め言葉として「クソ」を乱発する奴らを肥溜めに放り込んでやりたい
褒め言葉として「クソ」「クッソ」を乱発する奴らを肥溜めに放り込んでやりたい言語の観点からすれば、そいつらは現代的でも進歩的でも寛容でも無い。不寛容で古臭いと呼ばれるべきなのは本来そいつらである。何故なら「大衆の気分で選んだ価値判断は失敗だらけだった」という例を現代人は沢山知るっているはずだからだ。もし、それを知らないならば情報化社会に生きている現代人とは言えないただのパッパラパーである。...
「普通においしい」と言う人は味覚表現障害である「普通においしい」「普通におもしろい」「普通にかわいい」などの言い回しは、田舎の小中学生のセンスに似ている。自転車にアッパーハンドルやバイクのフロントカウルなど、何でもかんでも好き放題に取り付けて喜ぶような。アホである。私も似たようなことをしていたので、未熟な彼らにはまだ可愛げを感じる。「普通に~」も不適合なパーツと同じ。...

三鷹アサヒ君のような突き抜けたアニメキャラなら可愛気があって良いのだが、現実はそうはいかない。

一億総ボケ社会

前項で例に出した表現に共通するのは、内(思考)と外(言葉)がバラバラな状態ということ。

内と外がバラバラな状態を続けているとどうなるか。「徐々に無思考へと至る」のだ。「女子力」と「草」は既に「思考を放棄している域」に達している「無思考状態」なので救いようがない。

まさに「一億総ボケ社会」だ。まったく、日本人は「再考」だぜ!!

マスコミとの連携プレイ

つい先日のことだ。

テレ東BIZの動画配信タイトルが視界に入り非情に不快だったため、用法の誤りに「テレ東さっさと潰れろ!」と付け加えメールした。

「ウクライナ情勢変化で“台湾有事”の可能性は?」

と書いていたからだ。

建前として正確に情報を伝える役割を担うマスコミが率先して「言葉の一元化による言語貧乏」を推進している現状。「自称保守」が大好きな産経でも実態は変わらない。産経にもメールした覚えがある。

だが問題は、こんな表現を許している我々だ。我々が「言葉の一元化」を受け流し許し続けているからこのような表現が堂々と幅を利かせるのだ。

「マス・コミュニケーション」なのだから、日本人の言語感覚の鏡像であるのは当然である。

結局のところ日本人は「マスコミとの連携プレイ」で「言語貧乏化」を推し進め「一億総ボケ社会」に堕していく。

我々は他国に対し「防火」と「放火」を区別する言葉がないと嘲笑している場合ではない。

「言語貧乏」は搾取される

「言語貧乏」を推し進め「一億総ボケ社会」になった我々を待ち受けているのは「搾取」である。

もう一度この文章を思い出して欲しい。

今月Fate/Grand Orderで課金しすぎたわ。
断捨離のためにメルカリ始めた。
パパ活でお金入った🤑インスタで〇〇ちゃんがあげてたルブタンの靴買っちゃった💝これでまた女子力上がったかな✨

「課金」の搾取

「課金」の意味を考えることすら放棄している者達や「課金ではなく納金だ」と情報提供してくれている人を「言葉は変わるんだ!」と集団リンチのごとく返り討ちにして「修正アップデート」しない者達がいる。

奴らは絶妙なタイミングで開催されるイベントに射幸心を煽られ自制を失い、運営会社に驚くほどの金銭を「上納」していることにすら鈍感になっているのだろう。

プレイヤー側が「課金する」という表現を遣い始めたのは「語義を考える余裕を奪われた」からだと思われる。いわゆる「ソーシャルゲーム」が主流になるにつれ各運営会社は「課金システム」を導入していった。

巧みなイベント構成で射幸心を煽られ自制を失ったプレイヤーは「語義を考える余裕を奪われ」「納金する」より「課金する」の方が表現しやすいしカッコイイという深層心理が働いたのかも知れない。「課題をクリアする」というノリで。

奴らの中で「課金」は「投資」や「積立」であるかのような錯覚さえ起こっているのだろう。アホ丸出しである。

その一方で、数時間掛けて「数百円単位」の価格差しかないPCパーツを選び「コスパコスパ」と書き立てる始末。バカそのものである。

【インド人】おしえください「課金」のいみがワカマセン目下のイベントにしか興味がないソーシャルゲームのアホプレイヤー共が「納金」の対義語であるはずの「課金」で上書きセーブをやらかしている。その上書きセーブのデータは各分野でコピーされ世間に蔓延した。その蔓延ぶりは手の付けられないところまできており、愛国心の塊のような桜井誠氏でさえ「納金」のことを「課金」と言っている始末。...

「断捨離」の搾取

「断捨離にアテられ」必要なものさえ捨ててしまった反動で「断捨離と銘打って」メルカリに出品するも、届く通知は「値下げ交渉」と「いいね」ばかり。送料と手数料を考えたらそんなに値下げできるわけないだろ!と憤慨する。

もはや「買う気のないいいね禁止!」という注意書きをしている自分に矛盾を感じなくなり、更に売れなくなる泥沼にハマってしまう。

メルカリで“タダのゴミ”が売れまくる!?誰もが思わず落札したくなる
“たったひとつの工夫”
で夫の給料の2倍稼ぐ“極秘メソッド!!”

メソッド購入者が増えるとせっかくの利益を逃してしまいます。
↓↓↓↓↓↓そのため3日間10名限定です!お急ぎ下さい!↓↓↓↓↓↓

限定の“極秘メソッド”をいち早く手に入れて先行者利益をGETする!

語求(ごきゅう)
語求(ごきゅう)
上記の文章は私が考えたものだ。リンク先は「情報商材詐欺」の検索結果

挙句の果てには、こんなキャッチコピーの詐欺情報商材を掴まされかねない。

「女子力」の搾取

個人売春を「パパ活」なる言葉にすり替え自らを欺き、男にイヤイヤ付き合いもぎ取った金銭。

そんな「あぶく銭」を服飾から占いサイトにまで溢れる「女子力アップ」というワードに乗せられ無駄遣いする。そしてまた個人売春を行い、ついには人間不信という貧困に身を落とす。

人間不信からホストクラブ通い。借金地獄から逃げられなくなる。

「言語貧乏」に入り込む「搾取ワード」

「言語貧乏」でスッカラカンになった頭の中に入り込むのはこういった「搾取ワード」なのだ。

「課金」というファイナンシャルワード

「断捨離」というスピリチュアルワード

「女子力」というキラキラワード

これらの言葉に搾取され、ますます貧乏になるのである。

言語貧乏から抜け出す方法

言葉を適切に選択しない、もしくは選択できないのはとても貧しい状況だということが理解できただろうか。

もし理解できたのなら、言語貧乏から抜け出し搾取されない方法は簡単にわかるだろう。

「心と言葉の接続を安定させること」

これが言語貧乏から抜け出し「贅沢」を取り戻す方法だ。

己と言葉の接続が悪いと他者との通信もままならない。通信が悪く余裕がないと判断力が鈍り不要な買い物をしてしまう。

そんなことにならないために「可能性」という用語が自分の心と確実に接続されているのか「課金」という単語が自分の心情と接続不良を起こしていないかをよく見つめるべきである。

「草」と書くのはあなたの心が存在していないのと同じだ。あなたの心がないのだから接続しようがない。

よって誰にも伝わらない届かない響かない。「言語破産者」は存在しないのと同じである。

日本人は全体像を見ることが苦手

(略)

漢書で「世(せ)論」といってみても、それは「世にはびこる論」のことで、昔の「輿論」とは異なります。輿論というのは、「社会の台(輿)にいる庶民が心中に抱く常識」のことです。

そんな土台も庶民も常識もなくなったのが現代社会です。だから、言葉の土台も失われて、人々は目前に流れる言葉に束の間だけ唱和し、それが流れ去れば、自分の意見が何であったかさえ忘れてしまうという顛末です。

(略)

言語的動物に過ぎぬ人間が、おのれの存在の根拠である言葉を軽んじ壊し忘れていくというのは、無残としか形容の為し様がありません。

この記事の評価

ABOUT ME
Avatar photo
語求(ごきゅう)
「適切な言語感覚」を探求する者。「言葉の変化全肯定論者」の軽薄さと危険性を独自の視点で暴き出す。「言葉は生き物」「言葉に寛容になれ」と心無い批判をされた人よ。あなたの言語感覚は間違っていない。そんな奴らに屈するな。国防に必要なのは核武装 と言語の保守だ。アイコンはユルいが50代の筋トレおじさん。