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外来語

【不適切用法】育児に「ワンオペ」なんてない

育児の姿勢について。

「ワンオペ育児」なる文言を偶然目にした時、驚いた。「とうとう頭がイカれたか」と。

こんな親に育てられる子供はたまったものではない。では本題に入ろう。

不適切用法

「ワンオペ」とは「ワンマン・オペレーション」の略らしい。女性の場合なら「ワンウーマン・オペレーション」なのだろうか。

「オペレーション」とは運用・運行・作業・操作などの意。「一人で作業を行うことがワンオペ」。そういうことになるのだろう。

当然ながら元々は業務用語である。それをあろうとことが「育児」に持ち込む。これがどれだけ不適切かわからないのか。

更に驚くべきことに「親自身」が何の躊躇もなく「ワンオペ育児」という表現を遣っている。私からすれば「イカれている」としか思えない。

人に直接関わることで「オペレーション」が適切なのは治療目的においてだろう。外科医が「オペ」と言ったりするアレだ。

厳密には「オペ」とは医師及び治療を行う従事者へ向けられたもの。患者の治療を完遂するためには、医療従事者が「正確にオペレーション」する必要がある。

「オペ=運用・運行・作業・操作」を的確に行わなければならないのは医療従事者であり、患者、つまり他者に向けられているものではない。自分に対してならオペレーションを用いても良いような気がしてくる。

「ワンオペ」だって接客業務で使う。接客だから人に関係しているだろうが。
「ワンオペ育児」だって親がオペレーションするから同じだろ。

ごもっともだ。だが「育児」は「オペ=運用・運行・作業・操作」なのか。断じて違うと言わねばならない。「ワンオペ」は「育児」に適した言葉ではないのだ。

これを「不適切用法」を名付けることにしよう。

医療や接客は「わたくしごころ」「私情」を排除しなければならない局面が多々ある。私情や気分に振り回させることなく「正確なオペレーション」をしなければならない。「親身」になって患者や客の声に耳を傾けると言っても、業務上の境界線はある。

「正確なオペレーション」を行った結果「三方よし」になるのだ。

もし、保育所・幼稚園で保育士や教諭が「ワンオペ」と言っていたらどうだろう。良い気分にならないのが親として真っ当な心理なはず。

ところが、我が子との暮らしを「ワンオペ」と言ってのける親がいる。あなたがどう思うか訊きたいところだ。

破壊される適材適所

「不適切用法」を三種類に区分して書き出してみよう。

人間に関する不適切用法

スペック
使えない
整理
切る
劣化
中古
女子アナ
賞味期限
クソ
絡む
生理的に嫌い/生理的に無理
歴史上の人物に「さん」付け
ミュージシャンやアイドルを一様に「アーティスト」と呼称する

人間以外に関する不適切用法

~てあげて(化粧品/食材)
連れて帰る/お迎え/この子(服飾品/ドール)
神/最強/最高/コスパ(動画/音楽/手法/飲食/アイテム全般)

状況や環境に関する不適切用法

ドカ雪
ゲリラ豪雨
ライブに参戦
妊娠が発覚
飯テロ
脱退や降板を「卒業」と表現する
解雇を「リストラ」と表現する
自分や親族の妊娠を「懐妊」と表現する
金持ちを「セレブ」と表現する
気分の高揚を「テンションが上がる」と表現する
些細なことにも「~過ぎる」と表現する
再挑戦を「リベンジ」と表現する



「リベンジの誤用を擁護するお前たちを焼き殺してリベンジしてやる」と言っても罪に問われない理由
「お前たちを焼き殺してリベンジしてやる」と言っても罪に問われない理由語義が多数派により置き換えられるという現象は相対化を経て新たに語義が絶対化されることを意味する。つまり、語義の変化は「相対化の絶対化」を繰り返し行う運動というわけだ。「いや、リベンジの語義を拡張しているのだから制圧じゃないだろ」「復讐、仇討、怨恨の意味も残しているのだから寧ろ合理的だろ」と考える人もいるだろう。だが、...
殺害予告が犯罪ではなくなる日|言葉は時代の気分で変化するという観念の落とし穴現代の日本において、下記の発言を表明することは犯罪行為とみなされる。竹中平蔵、売国奴のお前をいつか必ず殺してやる 国賊堀江貴文をブチ殺す では、次の表現は犯罪か否か。あなたに考えてほしい。あなたは「犯罪的発言ではない」と答えるだろう。あなただけではなく多数の日本人もそう答えるはずだ。...

人間関係に対してはぞんざいな言葉遣い。一方、物にはやたら丁寧で大袈裟。歴史上の人物と自分には甘い表現。厳しい現実を直視できないのか、解雇を「リストラ」というカタカナ英語でごまかす始末。

とてもチグハグに感じないだろうか。

「生理的に嫌い/生理的に無理」については異論があるのは認める。

「卒業」や「リストラ」については他者にも用いたりするが、状況をボカす必要があるのか疑問である。「コスパ」という言葉の無節操ぶりは酷い。人にも遣う無礼者がいる。

「ワンオペ育児」もこれらの中に加えても何らおかしくはない不適切具合だと思う。

分かれ目は自覚の有無

お前は人に対して「駆除」だの「ブチ殺したい」だの「殴りた倒したい」だの「顔面を金属バットでフルスイング」だの言っているだろうが!

仰る通り。ささやかな弁明をすると、私はこれらの表現に自覚的だ。蓄積した憤りがこれらの表現に繋がっている側面もあるが、遣いどころをよく考えている。人に対し「スペック」「整理」「劣化」などを用いたことは一度もない。

無自覚にこれをら用いることがどれだけ失礼か想像できるからだ。「駆除」や「殴りた倒したい」などは、攻撃意思をわかりやすくするためである。批判を覚悟の上で用いているのだ。

大切なので強調しておこう。

自覚の有無は適切な言葉選びの要点

「ワンオペ育児」なんて表現は不快だと言われて、ピンとこなかったり、はたまた怒るのは「適切な言葉選び」ができていない証拠だと自覚してほしいものだ。

人間味の欠如

「不適切用法」についてもう少し言及しておこう。

人に対して「スペック」「コスパ」「使えない」を用いるのは功利主義や合理主義の臭いがする。人を損か得かだけで見ていることの現れだ。

「整理」「切る」「劣化」は上記の損得勘定もあるが「対象が生身の人間であること忘れている」もくしは「対象が生身の人間であることを感じにくい」状態。

言わば「人間味の欠如」である。

人間味の欠如に関してひとつ例を挙げよう。

私は「アメーバピグ」というサービスを利用していた。「アメーバピグ」とは仮想空間での人形遊びといったところ。自分を模した二頭身の人形で会話するというのが主な機能。

街や森に出掛けて買い物やゲームをしたり、他人の部屋を訪問して贈り物をすることもできる。農園や庭造りに特化した派生サービスもあった。現時点で類似したサービスは「ニコッとタウン」だろう。

「アメーバピグ」のようなところでは日常的に「整理」「切る」などの表現が遣われる。

簡単に「友達」が増えることがその背景にあるのだが、仮想空間ではとかく「対象が生身の人間であること忘れている」もくしは「対象が生身の人間であることを感じにくい」状態に陥りやすい。






SNSでも似たようなもので、フォロワー集めに特化したアカウントがこんなことをやっている。

#生存確認
#フオロワーチェック
#反応しないアカウントは整理
#リプがないアカウントは切る

少数ではない。多数のアカウントがこんな調子の言葉を平気で垂れ流している。

気持はわからないでもない。SNSでは自動化によるフォローが当たり前のように行われている。自動化でフォローするアカウントは言わば「無人状態」。言葉遣いがキツくなるのも仕方ないかも知れない。

だが、それでも言わせてもらおう。

語求(ごきゅう)
語求(ごきゅう)


乏しい身体性

「人間味の欠如」は「身体性」が乏しい故だと考える。「身体性」とは何か。私なりの解釈ではあるが説明しておこう。

「身体性」とは「身体の動員量と重要度の関係」という概念。遠方まで出掛けてやっと手に入れた限定品には思い入れが強い。これは身体性が高いと言える。

毎日電車を乗り継ぎ出社して、長時間顔を合わせる仕事仲間。そんな相手にいきなり「整理します」「縁を切ります」とは言い辛い。高い身体性がその言葉を阻むからだ。

フェミニストの記事(未完成)では「身体性」を手掛かりに持論を展開している。

https://nippon-gengo.com/feminist-kujyo/

職場で「整理」「切る」といった表現が当てはまるのは、残酷な状況。「人員整理」や「首切り(解雇)」などがそうだ。しかし、指しか動員されない仮想空間では、いくら視聴覚の刺激があったとしても身体性は希薄。

身体性の低さ、乏しさ、薄さ。これらがチグハグな言葉選びに強く関係していると私は考えている。VRならまた話は変わってくるだろう。

言葉の操り人形とマザーテレサの誤り

言葉に操られていた管理人

恐らく、このように反論したくなる人がいると思う。

失礼な!私は対外的に「ワンオペ育児」と言いますけど、周りがそう言っているので合わせているだけです!
ちゃんと子供に向き合って大切に毎日を過ごしています!

今はそれができるかも知れない。しかし、忘れてはならない。人は「いとも容易く言葉に操られる」ことを。

日本には若い力が必要です!だから成人年齢を引き下げるべきなのです!
あなたの自由は制限されているんです!
規制緩和が必要なんです!
国という枠組みはもう古いんです!
今こそ海外に打って出るべきです!
あなたは既得権益を許せますか?
こんなに無駄が多いんですよ!
民営化して競争させるべきなんです!
日本は日本人だけのものじゃないんです!
動物はあなたの食べ物じゃない!
その発言は女性の尊厳を踏みにじっています!
これは性的搾取です!
戦争法案に断固反対!
ジェンダーバイアス!
ヘイトスピーチ!
農業改革待ったなし!
抜本的構造改革!
コンクリートから人へ!
グローバリズム!
ゾンビ企業!
トモダチ作戦!
郵政民営化!
縦割り行政!
女性雇用政策!
大阪都構想!
二重行政!
政権交代!
平成の開国!
財政健全化!
身を切る改革!
一億総活躍社会!

こんな言葉に踊らされた人はいないだろうか。

私は「郵政民営化」「政権交代」「規制緩和」「トモダチ作戦」などを何となく肯定していた。当ブログ訪問者の誰よりも大バカだったのだ。

「ワンオペ」なる言葉が流行している元凶。それは「構造改革」「規制緩和」「財政健全化」などを行ってきた政府の失策なのが、まことに皮肉である。

「財政黒字化」「一億総活躍」という言葉で騙し国民を貧困化させる自民党

日本における構造改革の始まり

TPP…平成の黒船ではなく泥船、平成の開国ではなく売国

米軍トモダチ作戦はサイコロジカルオペレーション

どうも最近の安倍政権の言葉を見ていると日本語として意味をなしていない

あなたも言葉に操られている

「女は子供を産む機械」や「羊水が腐る」発言には怒り狂ったくせに「女性の活用(女性雇用政策)」という表現にはさほど異論を唱えない。

もっと言えば「人材」という表現も機械やモノ扱いではないのか。「ワンオペ育児」もこれらと同種と捉えるべきはずである。

男に「キモい、クサイ、ダサい、ハゲ」と罵るならば、自発的に「ワンオペ育児」と称するならば「女は子供を産む機械」に怒り狂うのは筋違いというものだ。

あなたも言葉に操られている恐れがあることを自覚すべきである。

女は子供を産む機械/女性の活用/人材

マザーテレサの誤り

ここでマザーテレサの名句を思い出してほしい。

マザー・テレサ
マザー・テレサ
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
マザー・テレサ
マザー・テレサ
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
マザー・テレサ
マザー・テレサ
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
マザー・テレサ
マザー・テレサ
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
マザー・テレサ
マザー・テレサ
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

仰る通りです。と言いたいところだが、最初の一文は誤りだと思っている。

マザー・テレサ
マザー・テレサ
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。

確かに思考は言葉の元かも知れないし行動にも影響する。だが、人は必ず言葉を用いて思考しているのだ。

「思考」と訳したことに問題あるのではないかという疑問は残る。しかし、かなり横道にそれるため「思考」と訳したことについて、ここでは掘り下げずに話を進めよう。

実のところ思考には「言葉のインプット」という前段階が必要。

「思う」というのは恐らく言葉がなくてもできる。それを「思考」にまでステップアップさせるのが「言葉」なのだ。

「言葉のインプット」によって思考も変わりうる。ここにマザーテレサの誤りがあるというのが私の解釈。

繰り返しになるが、これは「思考」と訳したことへの疑問を掘り下げない前提での見解である。

ただ「言葉のインプット」によって思考が左右されることは強調しておきたい。つまり「言葉の操り人形」は意外なほど多いと考えるべきだろう。

言葉の操り人形にならないために

「ワンオペ育児」という「言葉のインプット」によって、人の思考がどのように操られるかは未知数だ。

技術であろうと言葉であとうと、新規なものは、大抵既存の規範や約束事がリセットされる。人は何故かリセットを歓迎するが、規範や約束事を改めて作り直さなければならない痛みや苦しみや混乱に悶えるのが実際だ。

「スマートフォン」や「LINE」などがどれだけ社会を混乱させているか。あれらが引き起こした混乱が、利便や効率と釣り合うと思っているなら相当な「操り人形」だ。

「~女子」「女子~」という言葉にしても同じで、人々はいとも簡単に操られている。「女子会」「大人女子」「女子力」などのワードをチラつかせ思考を良いように「オペレーション」されていることに気付かない人は多い。






女子「力」にはご用心|まともな大人の女性は「女子」を自称しない今回は「女子力」なる謎の言葉について。もしあなたが、このあまりにも抽象的な言葉に疑問を持たないなら気を付けたほうが良い。男性からはいずれ粗末に扱われることになりかねない。...

新規なものは何が起こるかわからない。歴史を振り返れば、新規なものは未知数故に悲劇と混乱へ人々を陥れてきた。

「ワンオペ育児」からは「育児の外注化」「家事の外注化」という誘導がなされるだろう。「育児の外注化」「家事の外注化」がどんな悲劇と混乱へ人々を陥れるのか。考えただけでも恐ろしい。

既存の規範や約束事のリセットで得をするのは殆ど「株主」だ。あなたもご承知の通り、その株主は「日本人」とは限らない。これが何を意味するのかをよく考えてもらいたい。

そして改めて「ワンオペ育児」なる表現が適切なのかを我が内に問いただして欲しい。

「ワンオペ」というのは企業の経営論理である。ビジネスの論理を子育てに持ち込むことがどれだけ滑稽かよく考えてみられたい。

ビジネス論理がどれだけ国を危機に陥れたかは貧困化している日本の現況を見ればわかるはずだ。悪しき論理が子育てにまで浸透すると、それこそ日本が土台から崩壊しかねない。

「ワンオペ育児」なんてない。そう感じるようになることを願っている。

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語求(ごきゅう)
国防の観点から「鋭敏な言語感覚」の重要性を訴える。「言葉の変化全肯定論者」の軽薄さと危険性を独自の視点で暴き出す。「言葉は生き物」「言葉に寛容になれ」と心無い批判をされた人よ。あなたの言語感覚は間違っていない。そんな奴らに屈するな。国防に必要なのは核武装と言語の保守だ。アイコンはユルいが50代の筋トレおじさん。
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